習得重要度A試験との関係では、条文の知識がしっかりしていれば足りる。結構出題されている。他、「今後」のためにも、流れだけでも把握しておきたい。


2012年現在、日本国憲法は、制定・公布・施行から65年経過しています。言うまでもなく、当時と今ではいわゆる「時代」が違います。社会背景や人々の価値観も変わっている部分が多いです。

となれば、わが国の根本規範である日本国憲法も変わるべき部分は変わっているべきなのですが、ご存知の通り、憲法改正はただの一度もなされていません

なぜ日本国憲法は、一度も改正されていないのか?

なぜ改正されないのか?理由はいくつかあると思います。

改正する必要がないから?

うーん、そういう意見はあっていいと思いますが、私はそうは思っていません。改正するべき(ここが前提です)なのに、改正できなかった、あるいは、しなかったと思っています。

  • 日本国憲法を変えることをかたくなに嫌う思想・信条の勢力(外国勢力はもちろん、日本人の中にも)が一定数いること、
  • 多くの国民が憲法自体に関心がなく、改正云々にまで世論が盛り上がらないこと(でなきゃ、政治家も真剣に動かないから)・・・

こんなところですかね。ちなみに、私の意見はこっちです。

主な理由はこんな感じだと思いますが、もうひとつ、大きな理由があると私は考えます。それは、手続上、改正のハードルが非常に高いことが挙げられると思います。

後ほどお話しますが、日本国憲法の改正要件は、それは厳しい要件で、「改正、絶対ムリ」ってぐらいです。これらの理由と政治家の不作為で、改正手続の法整備すらできていない状態がつい最近まで続いていたのです。

手続上はいつでも改正可能な状態

しかし、平成19年、「日本国憲法の改正手続に関する法律」が制定され、3年の経過措置を経て平成24年現在、日本国憲法の改正が手続上では可能になっています。

手続上では可能となっていても、「非常に高いハードル」状態には変わりはありません。なぜなら、改正条項である96条の発議要件が厳しい、つまり、日本国憲法自体が己の改正を非常に難しくしているからです。

平成24年末に誕生予定の第2次安倍内閣は、真剣に憲法改正を目指しているようです。平成25年の参議院選挙の結果次第では、憲法改正に踏み込んでくることは確実です。

法律制定とは違って、憲法改正の最終決定権者は、国会議員ではありません。国民の最終判断となります。

96条

ここで、その96条というものを見てみましょう。

第96条【改正の手続、その公布】

1  この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
2  憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。

1項2項が憲法改正の流れになりますが、まとめるとこうなります。

①国会の発議(1項)

②国民の承認(1項)

③天皇の公布(2項)

それでは、それぞれ解説していきます。

国会の発議

まず、国会の方から憲法改正の発議が行われます。

「発議」とは、憲法改正草案における議決のことだと思ってください。この草案の提出については、議員からでも内閣からでもどちらでも構わないと解されています。

この憲法改正の肝とでも言いますか、「非常に高いハードル」というものが出てきます。この発議、各議院の総議員の3分の2以上の賛成がなければ次の段階へは行けません。

つまり、(各議院欠員なしとして)衆議院では(480人の3分の2)320人以上、参議院では(242人の3分の2)162人以上の賛成がなければ改正はこのステージでダメになります。

憲法改正には、法律制定のように参議院ダメでも衆議院3分の2条項で可決とか、衆議院の優越制度はありません。両院平等です。ですから、これは相当高いハードルになるわけですね。

で、両院でそれぞれ総議員の3分の2以上の賛成が得られると、次は国民の承認が必要です。

国民の承認

憲法改正は、最終的には国民が判断します。
国民主権とは言いますが、この憲法制定権こそが国民主権の本質といえるでしょう。

この国民の承認については、前出のとおり、つい数年前までは法整備もされず放置されていたんですね。方法は、国民投票です。総選挙のときに最高裁判事の国民審査も行われていますが、あれも国民審査になります。

国民が直接的に民主主義を行使する制度(国政選挙は直接的に総理大臣を決める選挙ではないので間接民主制)なので、間接民主制を原則とするわが国の民主制の例外となります。

この国民投票の総数の過半数の賛成によって、憲法改正案は成立します。

天皇の公布

国民投票により憲法改正案が成立すると、天皇は国民の名の下に、公布されます。