習得重要度Aこちらもなかなか難解。「権力的契機と正当性の契機」をイメージするとよい。




国民主権論でいうところの、「国民」とはどういう意味を持つのか、についてご説明します。
なぜ、こんな議論があるのかといえば、主権論でいう「国民」の意味は、必ずしもひとつではないからです。

問題提起

それは、
主権を行使するのは、選挙権を持つ有権者のことなのか、
それとも、
実際に選挙権を持つ有権者のみならず、約1億3千万人の全国民(※1)の事を指すのか、という議論があるんですね。

権力的契機と正当性の契機のお話をしましたが、あれとリンクする議論なんですね。まずは下の図を、しっかりイメージできるようにしておいてください。

国民主権における「国民」の意味の論点

こういう議論は、正直、あまりにも学問的過ぎるきらいがあるわけですが、試験との関係では重要な基本原理になりますので、しっかり理解しておく必要があるんですね。

2つの学説

有権者主体説

国民主権の「国民」とは有権者のことであるという考え方は、主権論でいうところの「権力性の契機」を重視している考え方であることはお分かりだと思います。

しかし、選挙人資格とは法律で決められています(44条)。実際、選挙権年齢は法律によって引き下げられました。国民主権と言う憲法でも重要な概念を、憲法ではなく下位法規である法律で分けるのは憲法の最高法規性から論理矛盾があると言えるでしょう。

全国民主体説

もうひとつ、天皇を除く全国民であるという考え方は、民主主義理念に合致し、「正当性の契機」を重視しています。

現実の「主権」という権力を無視するのは統治機構のシステム上うまくありません。

通説

どちらの考え方も一長一短あるわけですが、両方の意見を良いとこ取りする考えが現在の学説上では通説と考えます。
すなわち、「主権」の究極は憲法制定権であると考えます。

国の根底法規である憲法を改正する権利が主権者の究極の権利であるわけです。

国民の意味のイメージ図

憲法改正は、もちろん有権者が持つ権力でありますが、憲法改正の場面はそうあるわけではありません。事実、日本はこれまで憲法改正の経験がありません

ですから、通常時は民主主義理念である全国民が主権者であると考えるわけです(正当性の契機)。そして、イザ憲法改正の場面になると権力性の契機が顔を出す「システム」と考えるのです。

シンプルに表現すれば、

主権の保持者である国民は「全国民」であるが、主権の行使者は「有権者」であると考えます。


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