法律系試験の憲法の問題を眺めていると、「最高裁判決の趣旨に照らして~」的な問題が多いことにお気づきになると思います。要するに、憲法の問題は、判例問題が多いということになります。他の科目と比較するのは難しいものがありますが、印象的にも事実的にも、判例問題は多いと思います。

例えば、行政書士試験の憲法の問題だと、条文や判例の知識で8割ぐらいは解けるのではないかと。行政書士憲法で8割取れればまあ成功と言えますので、条文はもちろんですが、判例にも力は入れないといけませんね。

その判例の勉強方法ですが、判例、苦手としている方も少なくないかもしれませんね。何より、表現と言いますか、専門的な用語と、言い回しが回りくどいのはあると思いますから。

これらはもう慣れていくしかないですし、続けてれば時間が解決してくれると思うます。専門的な用語も勉強が進んでいけば学べますし、回りくどい言い回しも慣れてきます。だから、それまでは我慢してなれるように努力して頂けたらなと思います。

それはそれとして、判例の読み方、ポイントとなるような部分をチェックしていこうと思います。

試験に強くなる憲法判例の読み方

何が問題になっている事件かを意識する

事件の概要を把握するのは当然として、「この事件は憲法上で何が問題になっているのか」という点を見失わないようにしましょう。これ、憲法判例の本質でもあります。見失うと、なんだかわけがわからなくなるのでと思いますよ。

では、実際に重要判例を題材にして解説してみましょう。
憲法では最も有名かつ重要な判例「マクリーン事件」を。こっちは第一審で、最高裁判決はこっちです。

事件の概要はリンク先に譲るとして、何が憲法上問題になっているかというと、「在留外国人の政治活動は保障されるか」という点であり、在留外国人に21条(表現の自由)の政治活動の自由が保障されているのか、という点であり、突き詰めると、外国人の人権享有主体性の問題ということです。

マクリーン事件は憲法上どんなことが問題になっているのか

マクリーンさんが日本国籍を持っていれば、この事件のような問題にはならなのです。だって、政治活動の自由は21条で保障されているのですから。しかし、マクリーンさんは日本政府から在留許可を付与された(これは権利ではありませんあくまで許可されただけです)いち外国人にすぎないのです。

そんな外国人に、日本国民と同様の人権が保障されるのか、されるとしたらどの程度まで保障されるのか、という外国人の人権享有主体性の問題なのです。これが、マクリーン事件が憲法上問題になっている点なのですね。

各事件、必ず憲法上問題になっている点があります。だから争われているんですねどね。そこはしっかり意識して読み込みましょう。

定立された規範を意識する

マクリーン事件最高裁判決で、この外国人の政治活動について問題になっているわけですが、その判断にための規範が定立されています。「規範定立」とは判断材料のルール(規範)が定められた(定立)とイメージすればいいでしょう。

この事件、在留外国人の政治活動の自由の判断なのですが、それ以前に、外国人に人権保障が及ぶのか、及ぶとしたらどこまで許されるのかという「外国人の人権享有主体性の問題」についての規範が定立されました。定立された規範をひな形としてこの事件の判断をするということになります。

マクリーン事件最高裁判決において、外国人の人権共有主体性の問題について、こんな判旨があります。

権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解されるものを除き、我が国に在留する外国人に対しても等しく及ぶものと解すべき

こんな規範が定立されました。上の判旨をわかりやすい言い回しにまとめます。。

原則として在留外国人にも人権保障は及ぶが、「権利の性質上」日本国民のみを対象としたものと解される人権は除く

これが在留外国人に人権が及ぶ範囲を示した規範です。
この規範を事件に当てはめて判断をしています。

これが、外国人の人権享有主体性の規範です。外国人の人権享有主体性は、この規範に当てはめて判断されるのですね。2017年現在、判例変更がないので、現在もそうです。後に同じようなことが問題となっている別の事件では、判例が踏襲されてるのです。

各判例、この定立された規範を意識して事件の本質を見失わないようにする意識をしながら読み込んでいきましょう。

まだ言いたいことがあるのですが、長くなったので、続きは後編へ。