習得重要度S私人間効力-問題提起に同じ。補足としては、直接適用説と間接適用説の裁判上の違いをしっかりイメージできようにチェックしておきたい。


それでは、
私人間効力の問題について、適用していけるのかどうかについての、
学説等をご紹介して行きます。

大きな幹である、直接適用説、間接適用説は、
確実にものにして頂きたいと思います。

直接適用説

直接適用説

民間でも国家権力並の影響力を持つ団体が存在する社会になってきたのだから、

立憲的憲法の趣旨から私人間でもそのまま憲法を適
用するべきだという説になります。(直接適用説)

私人間でも憲法違反として、裁判上で争えるということになります。

問題点

しかし、
私人間でもそのまま憲法を適用するとなると、
私的自治の原則や契約自由の原則というものはほぼ無になってしまうでしょう。

なんでもかんでも「憲法違反だ!人権侵害!人権侵害!ジンケンシンガイ!」
なんてことになる社会、どう思います?
私には○チ○イの沙汰だとしか思えません。

間接適用説

他方、
「間接適用説」という考え方があります。

間接適用説

私人間の問題は憲法を直接適用するのではなくて、間接的に適用する考え方です。

私人間で問題が起きた時、憲法規定を直接適用するのではなく、

憲法的価値観を私法(民法や商法)の
一般条項に取り込んで間接的に適用
する。

私法の一般条項とは、
民法1条(信義則他)、90条(公序良俗違反)、704条(不法行為)あたりがそうです。

民法第1条【基本原則】

 私権は、公共の福祉に適合しなければならない。
2 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。
3 権利の濫用は、これを許さない。

民法第90条【公序良俗】

 公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。

民法第709条【不法行為による損害賠償】

 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

民法の知識がある方でないと分かりづらいかもしれませんが、
「憲法違反」という信義則違反、不法な行為、公序良俗を乱した行為というイメージですね。

例としたらこんな感じです。

民間企業が従業員の就業規則で、男子定年年齢が60歳、女子が55歳と定めていた。性別による不合理な差別は憲法14条の「法の下の平等」に抵触する可能性があるが、この14条の価値観を公序良俗(民法90条)の解釈として取り込んで、公序良俗違反として無効になる。

参考元:日産自動車事件

憲法判断の話ではないので、「違憲、無効」とは出ません。

憲法違反はあくまで訴えの材料であって、争いは民事裁判。
もちろん、「憲法違反」という判決は出ません。
民事の私法による判断なので「違法(あるいは無効)」と出るだけです
(民法709条適用なら損害賠償請求の話も出てくるでしょう)。

間接適用説に立っても例外はある

なお、憲法25条の生存権については、
権利の性質上、私人間での適用はありません。
逆に、
同じように権利の性質上、私人間にも直接適用べきとされる憲法規定もあります。

判例の立場

判例の立場は間接適用説です。

三菱樹脂事件」という有名な事件がありますが、
この事件の最高裁判決で、間接適用説を採用しています。

では、この「三菱樹脂事件」を含めた、
私人間効力が問題となっている重要判例をご紹介します。



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