習得重要度A国事行為列挙事由については、行政書士試験などでは、重要知識になる。過去に何度も出題されている。国会や内閣の規定と併せて理解することが大事。


第3条【天皇の国事行為と内閣の責任】

天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。

第4条【天皇の権能の限界、天皇の国事行為の委任】

天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。
2 天皇は、法律の定めるところにより、その国事に関する行為を委任することができる。

「内閣の助言と承認」の意味

「内閣の助言と承認」の意味についてですが、これは、天皇の国事行為については、内閣がその政治的責任を負うという意味になります。

なぜこのような規定が置かれているのでしょうか。
これは、1条の「象徴天皇制」規定とあわせて考えて頂きたいと思いますが、象徴にすぎないということは、天皇は政治的権力は持てないということに他なりません。

「内閣の助言と承認」の図式

そして、7条の国事行為は極めて政治色の濃い行為かつ国家元首たる行為
ですが、そこには内閣の助言と承認が必要、つまり、その国事行為は天皇
の権力行使ではなく、内閣の「助言と承認」という名の拘束
を伴うということです。

逆に、天皇は内閣によって拘束されているわけですから、
政治的責任を負うということはありません。

余談-天皇の権能

余談ですが、
天皇は大和時代以降は一部を除いて大政奉還までは、基本的には国政には携わっていません。これは、日本史を学んでいる人にはお分かりだと思いますが、政治は変われど摂政や征夷大将軍等を置いて国の運営は他の機関に任せています。

明治から戦争までは色々な意見がありますが、少なくとも江戸時代までは国家権力=天皇ではありませんでした。その意味では、現在と似ていますね。

国事行為一覧

下に、国事行為一覧(6条、7条)を表にしておきました。
試験との関係では、結構重要です。

条文の知識ということになりますので、
統治機構の関連条文との流れを含めて覚えておくべき知識になると思います。

条文 国事行為
6条 1項 国会の指名に基づいて、内閣総理大臣を任命すること
2項 内閣の指名に基づいて、最高裁判所の長たる裁判官を任命すること
7条 1号 憲法改正、法律、政令および条約を公布すること
※予算、条例の公布は含まない
2号 国会を召集すること
※参議院の緊急集会は含まない
3号 衆議院を解散すること
※判例では実質的解散権は内閣にあるとする
4号 国会議員の総選挙の施行を公示すること
※補欠選挙は含まれない
5号 国務大臣および法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状および大使および公使の信任状を認証すること
6号 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除および復権を認証すること
※決定は内閣でなされる
7号 栄典を授与すること
8号 批准書および法律の定めるその他の外交文書を認証すること
9号 外国の大使および公使を接受すること
10号 儀式を行うこと
96条 2項 憲法改正を公布すること

補足

ご覧のように、天皇のお仕事にはかなり政治的な行為があります。

例を挙げますと、7条3号の「衆議院を解散すること」などは政治的行為そのものです。明文規定はありませんが、内閣の権能(東京高判昭28.9.22)とされています(参照:69条)。

天皇は決定事項にハンコを押すのみ、といったイメージです。衆議院解散の過程に関して、天皇はまったく係わることはありません。

衆議院解散の際、衆議院議長が「憲法7条の規定により衆議院を解散する」といった宣言があったりしますが(映像等でご覧になったことある方もいらっしゃるかもしれませんね)、いずれにせよ、天皇の形式的な承認がないと解散は出来ません。その意味での解散決定権者は天皇と言えますが。

衆議院解散の場合、69条と7条3号の1セットが必要ということです。(後述)

また、8号、9号はまさしく対外的に国家元首たる権能ではあります。こういう点を注視して、天皇が日本の国家元首であると主張している学者・有識者もいるようです。海外ではそう見ている国が殆どと聞きますが、日本国内では法的にはあくまで「象徴」になります。




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