習得重要度A立ち位置がどことなく「制度的保障」に似ていて、法の支配等による修正が必要となる。もっとも、理屈云々よりも、この特別権力関係が関係した重要判例は非常に重要。


原則として人権保障とは国家権力と一般国民との関係で語られています
私人間効力とかは例外ですね)。

しかし、世の中には通常の一般国民とは異なる、
国家との関係で特別の法律関係にある者、あるいは、なる者がいます。

なんか、スパイのこといっているみたいな言い方ですが、そうではなくて、
公務員、在監者です。
在監者とは、罪を犯し刑務所に入れられている人です。

概要

特別権力関係理論-問題の所在確かに、一般の国民とは立場が違うようです。

公務員などは公権力側の国民ですし、
国や地方公共団体に属しているわけですから、仕事内容はともかく、
立場は特別と言っていいでしょう。

在監者(受刑者、刑事被告人や被疑者等で拘置所等に拘禁中の者)も、
やはり一般国民とは違う特別な立場に立っていますね。

特別権力関係-意義イメージ
昔は国立大学の学生もこれに当てはまると言われていました。

そもそも国立大学は官僚養成学校としての役割を持っていましたから。今はそんなことないですけどね。

このように、特別の公法上の原因によって成立する公権力と国民との関係についての理論を「特別権力関係理論」と言い、
このような関係に入った者が一般国民の場合より基本的人権を制限されることを正当化する概念です。

優遇されるではなく、制限されるです。
公務員や在監者が、一般国民よりも人権制限されても仕方がない
とされる考え方ですね。

もともとは19世紀の理屈なので・・・

この特別権力関係理論は、19世紀後半のドイツで確立された理論です。
行政権優位であった憲法体制下において、議会(立法)が制定する法律による
コントロールことを排除する役割を持っていました。

明治憲法体制下でも同様の傾向があったとされており、
それなりに適合する理論とされていました。

制度的保障もそうですが、
昔確立された理論を現代にそのまま当てはめていくことは妥当ではありません。

ですから、今、必要な理論なのか、
必要ならどう現代にマッチングさせていくかという問題があるわけです。

以下、その検討に入っていきます。

内容

まずは、
特別権力関係理論とはどういった内容かをみてみます。次の3点。

  • 法治主義の排除
    特別法律関係下では公権力は命令権や懲戒権を有しており、法律の根拠なく支配できる。
  • 法律の留保の排除
    1つ目と少々似てますが、公権力は人権を法律の根拠なく制限できるとされていました。以前は「法の支配」の採用ではなく、「法律の留保」を採用。
    法律の根拠なく人権制限できるということは、制限が無いためにどこまで人権制限されるかわからないというものでした。
  • 司法審査の排除
    3つ目はその人権制限を救済してくれる裁判所の司法審査が原則及ばない。つまり、公務員は裁判所で人権救済が出来ないということです。

法の支配を理解されている方にとっては、
その視点から見れば、突っ込みどころ満載ですね。
ただ、特別権力関係では一般権力関係より強い人権制限を受けていた
ことがよくわかります。

日本国憲法との関係

繰り返しますが、
上の話は、19世紀後半のドイツ、あるいは、明治憲法下のお話です。

では、日本国憲法下と特別権力関係理論との関係はどうなるのでしょうか。
特別権力関係理論の内容と日本国憲法の基本原理と対比してみてください。

特別権関係は、以下の理由により日本国憲法には妥当しないが・・・

まず、日本国憲法では「法の支配」を採用しています。
「基本的人権の尊重」という基本原理があり、
法律の根拠なく人権を制限することなど認められるものではありません

また、
裁判所が人権制限による救済に関与できないというのも、
「法の支配」の原理に沿ったものではありません。

もうひとつ、
三権分立」の観点からも矛盾があると言えるでしょう。
議会の制定した法律のコントロールが利かないなんて、三権分立の原理から逸脱しています。

41条では、国会は唯一の立法機関であると謳っています。

第41条

国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。

にもかかわらず、
特別権力関係内部において規律なるものを勝手に定めて人権制限してしまっては、
法律以外の規範で人権を支配することになり、41条違反の余地を
大きく残すことになるわけですね。

以上の理由より、
特別権力関係理論は日本国憲法下においては妥当し得るものではないと言えます。

個別・具体的な検討は必要

ただ、
公務員や在監者は、その立場から考えて、
一般の国民と比べて一定の人権制約はやむを得ないのではないかという
問題意識もあります。
同等の人権保障では何らかの支障をきたす場合が起こり得るのではないかと。

そこで、
今日において特別権力関係理論は否定するが、
公務員や在監者というような特別の法律関係に入った者について、
それぞれの法律関係において、いかなる人権が、いかなる根拠からどの程度制約されるのかを、個別・具体的に考えていこう
という考え方が採用されています。

特別見料関係の論理構成

各論



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