習得重要度A事例についての理解には、少々難易度高い(民法知らないと意味が分からないと思う)かもしれないが、法人の人権享有主体性を認めた言い回しは、しっかり覚えておいてほしい。批判の部分は注目。法人の人権を認めることは、こういう弊害も伴うということ。そして、どうか「南九州税理士会事件」とセットで理解して頂きたい。


事案

八幡製鉄(現在の新日本製鉄)の代表取締役は、
同社名にて昭和35年3月14日、
自民党に対して、政治資金350万円寄付しました。

そこで、同社の株主が、この代表取締役の政治資金寄付行為は、
同社定款に定めるの所定事業目的の範囲「外」の行為であり、
その他商法違反として会社が被った損害に対する取締役としての責任追及のための訴え起こすよう、会社に求めました。

しかし、会社は訴えを起こさなかったため、自ら会社に代位して、
寄付行為をした取締役に対して寄付金分の350万円と遅延損害金を会社に支払うよう、訴えを提起しました。

争点、控訴審まで

  1. 政治資金の寄付行為は、定款所定の事業目的内の行為か
  2. 本件寄付行為は、取締役の忠実義務に違反するのか
  3. 会社は自然人同様、憲法の保障する人権を享有するか

ここでは1,2は省略して3のみについてお話していきます。
一審は原告の請求を容認しましたが、二審では一審判決を取り消し、
控訴人の主張を認めました。

原告はこれを不服とし、上告。

判旨要約・解説

憲法第3章に定める国民の権利及び義務の各条項は、性質上可能な限り、内国の法人適用されるされるものと解すべきであるから、会社は自然人たる国民と同様、国や政党のの特定の政策を支持、推進しまたは反対するなどの政治的行為をなす自由を有するのである

会社は定款に定められた目的の範囲内において権利能力を有するわけであるが、目的の範囲内の行為とは、定款に明示された目的自体に限局されるものではなく、その目的を遂行するに直接または間接に必要な行為であれば、すべてこれに包含されるものと解するのを相当・・・

これを自然人たる国民による寄付と別異に扱うべき憲法上の要請があるものではない。

「自然人」とは、人間のことです。

本判決は、
法人の人権享有主体性を認めた初めての判決です。

根拠としては、現代社会にとって法人とは、
欠くことのできない重要な存在となっています。

社会的実体として非常に重要な活動を行っている法人の人権を認めることは、
社会的実益は十分にあると考えていきます。

しかしながら、人権の基本的主体はあくまで自然人です。
法人は、言うまでもなく自然人とは違うわけですから、
その点において自然人とは違う、一定の制約を受けることになります。

その意味で「性質上可能な限り」、
法人の人権享有主体性を認めるということになります。

批判

この判決には批判もあります。

これを自然人たる国民による寄付と別異に扱うべき憲法上の要請があるものではない。

文言は、
「性質上可能な限り」法人に認められる人権は、自然人と同様に扱うべきと読めます。

他のページでお話している通り、
法人は自然人の人権を侵害する可能性もあります。

まさに「南九州税理士会政治献金事件」がそうでした。


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