代表民主制とは妥協案ではあるが、ある意味において、民主主義の本質論と思われる。試験との関係では、条文(前文、43条1項)との関係について問われる可能性。
日本国憲法は国民主権を採用していますが、では、その主権をどのように行使しているんでしょうか。日本国憲法の前文には、以下のような一節があります。
正当に選挙された国会における代表者を通じて行動~
これはどういうことかというと、我々国民の中から選挙を通じて議員として国会を送り出す、いわば、代表者を国会に送り出して、彼らを国民の意思として活動してもらっていることを表しています。こういうのを、代表民主制というんですね。
代表民主制は、国民が間接的に政治に携わることから間接民主制とも言います。この間接民主制、「一般国民が直接的に国の意思決定に参加し、その意思を国の在りように反映させる制度」と定義できますが、先出の前文とともに43条1項でも規定されており、我が国が間接民主制を採用する根拠になっています。
- 第43条1項
-
両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。
現在、世界中の殆どの国がこの間接民主制を採用していますが、積極的にこの間接民主制を採用する理由があります。その間接民主制を積極的に採用する理由とは何でしょうか。
間接民主制は、より人権保障に資する
民主主義では、とある事案に関して十分な審議・討論を尽くすことが非常に大事になってきます。
例えば、「憲法改正」という非常に重要な問題があります。
改憲派、護憲派、それぞれご意見があることでしょう。
日本の人口は約1億3千万人、有権者数でも約1億人ぐらいいると思います。その1億人が、北は北海道、南は沖縄まで広く分布しています。となると、どうでしょう、一般国民が十分な審議・討論を尽くすとなると並大抵な事ではありません。
事実上、不可能なのではないでしょうか。想像してみてください。
「多数決」で決めるという「危険」
そう、少なくとも日本程の人口を抱える国家にとって、直接民主制は現実的な話ではないのです。十分な審議・討論が出来ないと言うのは、実は非常に危険な事で、それは多数決が勝つという状況になる可能性が強くなります。
多数決というのは、非常に危険な側面があり、ただの人気投票になってしまいがちなんですね。まさに「ポピュリズム」や「衆愚政治」を招く元凶のひとつです。
こういうことを先導するのは、たいてい既存メディアですが、そのメディアの情報操作、バイアスによって、妥当な結論を見出すことも難しくなることもあります。これは、現在の日本を含め、世界的な歴史が証明しているのではないでしょうか。
「民主主義」と「多数決」は、分けて考えるべき
もちろん、多数意見が採用されていくのが民主主義なのですが、それには十分な審議・討論が絶対条件になります。いろんな価値観の持ち主が、喧々諤々と意見をぶつけていき、妥協点を見出していくのが民主主義です。
ただの多数決と、民主主義は、わけてかんがえなければなりません。でないと、声も小さい者や少数派に対しての人権侵害になり得る決定事項が出る可能性が高くなりますし、なにより、方向性を誤る可能性が高くなります。
この点、間接民主制だと私達の代表者ですから、こういったデメリットは大方回避することが出来、より人権保障に資すると考えられています。
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