外国人参政権の論点とほぼ同じ考え方で成り立っている論点。頻出度Aとしているが、AとBの間ぐらいと思われる。ただ、外国人が公務員に就任することの問題意識はSランクで持っておきたい。
なぜこのような事が問題になるかおわかりでしょうか。
公務員に外国人が就任する問題意識
公務員というものは、すなわち行政権の一端を担うわけで、国民主権上どうなのか?ということです。
それはそうです、公務員は、その職務によっては秘匿性の高い情報も取り扱うわけで、そんな職務に外国人を就任させるという意味は、子供でも分かることです。
よくいわれることですが、日本国籍でない者が総理大臣に就任した場合、その国と何らかの外交問題になった場合はどう対処するのか?という懸念が出るわけですよね。これは、差別とかそういう問題ではないわけで、そういう懸念があってはならないことなのです。
もっとも、公務員というものは、それこそ幅広いもので、国立大学の教授や国立の研究所の研究員もそうですし、議員や裁判官も公務員に当てはまるわけです。模試かいたら、公務員でもその職種によっては外国籍でも差し支えない場合はあるかもしれません。
いずれにせよ、そういう問題意識はもっておくべきなのです。
ここでは、議員などは参政権色が強いもの(外国人の参政権についてはこちらを参照ください)ですからここでは行政公務員の話だと考えてください。
外国人の行政公務就任権について
外国人の公務就任権は、22条の職業選択の自由はもちろんのこと、13条の幸福追求権、14条の法の下の平等あたりと絡んで人権で問題となってきます。
そこで、そもそも外国人に(行政)公務就任権があるのか、あるとすればどこもまで許されるのか、ということが問題になります。
国民主権原理と公務員の多様性がポイント
この点、参政権の場合での考え方がベースになります。
というのは、「公務」ですから、広い意味で言えば、参政的側面があり、行政公務員と言えど裁判官、あるいは防衛関連の要職には、国民主権原理から外国人が就任するのは問題があると言えるでしょう。国民主権の原理から言えば、統治作用にかかわり、公権力を行使し得る職務について外国人が就任することは問題あり、つまり、違憲と考えていきます。
しかしながら、繰り返しますが、ひと口に公務員と言ってもその内容は広範です。国立大学の教授も公務員になりますし、公立図書館の職員や公立学校の語学などの専任教師も公務員になります。
つまり、公務員と言えど、公権力にかかわりが低い乃至無い職務も存在するわけです。
このような場合であれば、
外国人にも公務就任権を保障されても良いのではないかと考えていきます。
高裁の判断だが・・・
この点、高裁判決ですが、
国の公務員の職務内容についてこのように区分けしています。
- 国の統治作用である立法、行政、司法の権限を直接に行使する公務員-①
- 公権力を行使し、又は公の意思の形成に参画することによって間接的に国の統治作用に関わる公務員-②
- 上司の命を受けて行う補佐的・補助的な事務又は専ら学術的・技術的な専門分野に従事する公務員-③
とし、さらに、
①の種類については、法律をもってしても、外国人がこれに就任することを認めることは、国民主権の原理に反するものとして、憲法上許されない。
②の種類については、その職務の内容、権限と統治作用との関わり方及びその程度のを個々、具体的に検討することによって、国民主権の原理に照らし、外国人に就任するを認めて差し支えないものと区別する必要がある。
③の種類の公務員は、その職務内容に照らし、国の統治作用に関わる蓋然性及びその程度は極めて低く、外国人がこれに就任しても、国民主権のの原理反するおそれはほとんどない。
このことは、地方公務員についても原則的に妥当する。
としています。
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