例によって、なぜこんなことが問題になるかを意識すると良い。紹介している判例は非常に大事。
法人の人権享有主体性の話です。
法人の人権なんて言うと、違和感を感じる方も多いことと思います。
法人は「人(自然人)」ではありませんから、人権なんていう概念があること自体おかしいですよね。
問題提起
ただ、今日において、法人の社会的実体は、社会生活の中で重要な役割を占めていることは見逃してはなりません。
例えばです。
事件報道等で、メディアが個人の人権を侵害するとします。プライバシーや名誉毀損などですね。この場合、個人とメディアである法人は、
プライバシー権と取材の自由、報道の自由とでぶつかることになります。
つまり、人権と人権のぶつかり合い。
こうなると、個人のプライバシー権はいうまでもありませんが、他方、「そもそも、メディアに人権なんてあるの?人間じゃないのにおかしくね?」という問題意識が出てくるわけです。
また、法人とは個人個人の集合体ですから、法人に人権を与えることによって、間接的にはその法人の構成員に帰属するとも考えられます。
法人の人権を認めることによって、間接的に構成員の人権を保障しうるという考えです。
ですから、法人の人権を認めることには、一定の合理性はあるように思えてくるのですね。
このように、人権とはそもそも自然人に妥当するものであるが、今日の社会的実体としての重要性から考えて法人にも人権を認めていくべきと考えていきます。
しかし、法人は人ではない・・・
法人にも人権を認めていくべきとしながらも、
やはり、「人(自然人)」と「法人」は違います。
基本的に人権とは人が有している権利ですので、
中には法人には馴染まない人権というものもあります。
法人に選挙権を与える必要なありませんし、
人身の自由についての規定は法人には馴染みませんよね。
ですから、法人にも人権を認めていくが、すべての人権を認めるわけではなく、人権の性質上、可能な限りにおいて認める、と一定の制約があると考えていきます。
法人が人権侵害の主体になることもあるという視点
法人というものは、その社会的実体が自然人よりも巨大なため、
人権享有主体性の問題において、2つの顔を持つことになります。
ひとつは、法人と法人外部の人権においての話。
これは、ここまでお話してきたことです。
もうひとつは、
法人が法人内部の構成員に対する人権侵害の主体になってしまうことがある問題です。
法人とその内部にいる従業員たる自然人では、雇う身と雇われる身で、立場が違います。場合によっては、不当労働や特定個人に対して差別的待遇をすることもあるかもしれません。
その他の人権享有主体性の問題
未成年の人権享有主体性
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