三権分立図

習得重要度A三権のそれぞれの他機関への抑止については、しっかり知識として身に付けよう。統治機構の問題として行政書士試験では何度も出題されている。


政治のニュースを見ていても良く出てくる言葉のひとつに「三権分立」というものがあります。これは近代憲法における一つの政治システムであると同時に、人権保障のシステムでもあります。試験対策上でも非常に重要な個所でありしっかりマスターしておくべき部分なのですね。

ということで、この三権分立について解説していきたいと思います。

三権分立と権力分立の関係とは

三権分立を語る前に「権力分立」という概念についてお話しましょう。

権力分立とは

権力分立とは、国家権力が必要以上に大きくなって権力濫用しないように、その権力の諸作用をその性質に応じて区別し、それを分離、つまり、切り離してしまいます。そして、その切り離した権力機関を、相互に抑制し、均衡を保たせ緊張状態を維持させようという発想が生まれました。これが権力分立です。

権力分立のイメージ図


ポイントは「区別」「分離」「抑制と均衡」です。この3つのキーワードで権力分立をイメージできるようにしておきましょう。このように、権力相互が、バランスを持って互いの権力が暴走しないように監視し、特定の権力が濫用されないようにすれば、国民の人権保障に資するのではないか、ということです。

以上が権力分立という原理です。

三権分立は権力分立の一場面

三権分立とは、この権力分立の一場面であるということです。権力分立の考え方を具現化したのが三権分立になるのですね。つまり、三権(司法・立法・行政)がそれぞれ暴走して人権を侵害しないように抑制・均衡を図っているのが三権分立になるのです。

日本国憲法と三権分立

日本国憲法における三権分立はどのよう表現されているのでしょうか。次の3つの条文をご覧ください。

第41条(国会の地位・立法権)

国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。

第65条(行政権)

行政権は、内閣に属する。

第76条1項(司法権)

すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。

これらの規定は、国家権力である立法権、行政権、司法権の所在を明記したものです。
立法権は国会に、行政権は内閣に、司法権は裁判所に属すると規定していますね。

国会議事堂
国会は我々の代表者が法律を制定する機関であり、国会議事堂と国会議員をイメージすればいいでしょう。

最高裁判所
司法は最高裁判所を頂点とし、他の国家機関とは一線を画し、独立して存在する司法権の担い手である各種裁判所です。

首相官邸
「行政」はそれ以外の国家機関で、その法律を行使する機関です。内閣総理大臣を長とし、各種省庁の下に様々な行政機関があります。もちろん、地方公務員もここに属しており、国公立の学校の先生なんかもここに属しています。

三権それぞれの関係

これらの機関には残りの2つの機関に対して行使できる権限があります。下の図は三権のそれぞれの機関に対する権限を示したものですのでご覧ください。


三権分立の図2

国会と内閣の関係

内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で選ばれます(67条)し、国会(衆議院)は、内閣に対して、「もうお前らなんて信用できない!認めないからな!」と内閣不信任を突きつけることができます。

この不信任が可決されると、内閣は総辞職となります(69条)。


他方、内閣は、衆議院から内閣不信任を突きつけられたら総辞職しなければなりませんが、もうひとつ、衆議院を解散に追い込む権限があります。

裁判所と 国会・内閣の関係

裁判所から他機関への抑止は、いずれも違憲立法審査権(81条)の行使です。違憲立法審査権とは、法令・その適用等の合憲性を審査する制度ですが、立法・行政の暴走に歯止めをかけることになります。

例えば、行政が、ある法令に基づいて国民に何らかの処分をしたとします。その処分された国民は人権を侵害されたとして訴えます。そこで、その裁判所は違憲立法審査権を行使して法令の合憲性について審査することができます。そういった裁判はしょっちゅう行われているわけで、実際に法令違憲が出て削除された条文もあります。



逆はどうでしょうか。国会や内閣から裁判所への権限です。国会には、唯一裁判官を罷免できる制度があります。弾劾裁判所の設置(64条)です。弾劾裁判所とは、裁判官の罷免の決することができる機関です。裁判官とはその身分が憲法でも保障されているくらいに厚く保護されていますが、裁判官が「何かやらかせば」、その身分を剥奪することもできるのです。

内閣は、司法権のトップである最高裁判所長官の指名及びその他裁判官の任命の権限を持っています。

このように、3つの国家機関は、他の機関を監視しお互いにけん制し合って、権力の暴走に歯止めを掛けられるような権限を持ち行使できるようになっています。この抑止効果が国民の人権保障につながると考えられ、三権分立の趣旨もここにあるわけです。

三権分立と国民の関係

三権分立というシステムは、国民の人権保障のためのシステムなので、国民がないがしろにされているわけではありません。

もちろん国会は国民が選挙で選んだ自分たちの代表者が担っているわけで、民主主義の原理も働いています(裁判所も「国民審査(79条1項)」という民主主義が働いていますが)。

三権分立と国民の関係の図

まとめ

以上が三権分立のお話です。権力を分立させる狙いは何なのか、日本ではどのように表現されているのかがお分かりになられたと思います。

試験では、三権分立そのものではなく各機関相互の攻撃防御の話が出題されやすいと思います。内閣と国会の関係、国会と裁判所の関係など、どのような攻撃防御があるのか把握しておくと良いと思います。

おすすめ