本文中にあるように、生存権は国家財政により成り立っていること、25条自体は「努めなさい」と規定している類のものという視点はに着目してほしい。判例~読み取っていくことが大事。
- 25条【生存権、国の社会的使命】
-
すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
2 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
生存権の背景
世界中の殆どの国がそうであるように、日本は資本主義のもとで経済活動をなし日々生活しているわけですが、そうなると、どうしても富める者とそうでない者が出てきます。この二極化構造を放置しておくと、富める者はますます栄え、そうでない者はそこから脱せないという悪循環になって社会不安に陥ってくるでしょう。
社会を安定化させるためには、この二極化構造を是正することが求められるわけですが、社会的・経済的弱者の声というものは、なかなか大きくなりにくい傾向があるわけです。
そこで、国家権力に対して、
社会的・経済的弱者の生活をせめて「健康で文化的な最低限度の生活を営」めるように努めなさい。
と規定しているのが25条の生存権というわけです。
この「努めなさい」というのが25条の本質である
ということは覚えておいてください(詳細は「生存権の法的性格」)。
社会保障の図式
この社会的・経済的弱者の保護というのは、もちろん、
私たち国民が納める税金によってなされるわけです。
大雑把にいえば、富める者から税金を徴収し、それでそうでない者を保護するという図式になります。格差を縮めるというイメージですね。
日本は先進国の中でも比較的社会保障が厚い国で、ちょっと前に、ある国の指導者が「日本は世界で最も成功した社会主義国家」と発言したそうです。ある種、的を得ていますね。
日本の治安が良いのは間違いなく社会保障制度によるもの
日本が世界有数の治安安定国であるというのは、日本人の国民性もあると思いますが、この社会保障の充実が理由であることが最たる理由だと思います。
日本は間違いなく社会保障が充実しています。そして、こうした社会保障は、
税金によって賄われるという視点、
それと前述した「努めなさい」という2つのポイントは、
生存権について考える場合でも、そして、日々の生活上の事象でも認識しておく必要はあると思います。
判例
生存権のところでの重要判例をご紹介しておきます。
まさに、
上記の2つの視点に基づいた判旨といえます。
- 堀木訴訟(最判昭57.7.7)
-
「健康で文化的な最低限度の生活」の具体的内容は、「時々における文化の発達の程度、経済的・社会的条件、一般的な国民生活の状況等との相関関係において判断決定されるべきものであり、それを立法に具体化する場合は、国の財政事情を無視することができず、また、多方面にわたる複雑多様な、しかも高度の専門技術的な考察とそれに基づいた政策的判断を必要とする」
「具体的にどのような立法措置を講ずるのかの選択決定は、立法の広い裁量に委ねられており、それが著しく合理性を欠き明らかに裁量の逸脱・濫用であると見ざるを得ないような場合を除き、裁判所が審査判断するのに適しない事柄であるといわなければならない」
重要判例:堀木訴訟(準備中)
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