ここでは判例が2つ出てくるが、いずれも重要である。
司法権とは、「具体的な争訟」という部分が核となり、その「具体的な争訟」とは、裁判所法3条1項の「法律上の争訟」と同じ意味であるとお話しました。
そして、こちらのページでは「法律上の争訟」について書きました。ここでは、「法律上の争訟」の範囲外、つまり、司法権の適用外についてお話していきたいと思います。
上の図はすでにご紹介しているものですが、復習のため。こちらの
ページでお話しするのは、司法権の枠外の「司法権及ばず」の部分
でその類型になります。
試験との関係でも重要な部分ですので、しっかり準備しておくといい
と思います。もう一度、上の「こちらのページ」リンク先のページで、
司法権及び「法律上の争訟」の定義を確認の上読み進めて頂くと良い
かもしれません。
パターンは3つ。では1つ目から。
具体的事件性を欠く場合
これもすでに他ページで触れています。
具体的事件がない場合です。
何も争う事件が起きていないと、司法権の行使はできません。
つまり、前提がない以上、裁判は成り立たないということ。
「警察予備隊事件」(警察予備隊違憲訴訟ともいったりします)では、
ちょうど同じようなことが起こりました。
この事件は、81条の違憲立法審査権の法的性格について判旨した事件
でしたが、同時に司法権の及ぶ範囲についても言及しています。
単なる事実の存否等の争い
コレは、ちょっと説明が難しいのですが・・・あえて言えば、
「確かに争っているようだけど、それを裁判所に持ち込まれても判断でき
ないよ・・・」といったものです。
裁判は、
具体的な当事者間の権利義務や法律関係の存否の争いごとであり、その争い事を法律によって最終的に解決すること
です。
これができない争い事は、司法権が及ぶものではないとされるのですね。
例えば、国家試験の合否の判定です(昭和41年2月8日最高裁判決)。
当然ですが、コレは、知識や能力等が判断基準になるものであり、
決して権利義務や法律関係の存否の話ではありません。
信仰の対象の価値・宗教上教義に関するもの
これも上に近いものがありますが、
話はもうちょっと複雑になってきます。
- 純然たる信仰の対象の価値、または宗教上の教義に関する判断
- 単なる宗教上の地位の確認
これらは、司法権の範囲外とされています。
1の方はまだわかりやすいと思います。
権利義務や法律関係の話ではありませんよね。あくまで思想や価値観の
話であり、裁判所にはなじみません。もちろん、限界はありますが、
オ○ムのようなことも含めて、限度を超えなければそういうことです。
2の方も、1に考え方に近いです。
信仰や教義に深く関連する地位の争いは、裁判で判定を出したところで、
終極的解決できるかというと、それは疑問です。やはり、教義の核心部
分の判断は、裁判所は判断せず、あくまで手続上の判断はする場合があ
るということですね。
この部分、「司法権の限界」の「部分社会の法理」とごっちゃになりが
ちです。ただ、別の概念ですので、注意してください。その辺は、
「部分社会の法理」で解説することにします。
この宗教上の教義に関する判例については、「板まんだら事件」が重要
になってきます。詳しくは、リンク先でご確認ください。
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