思想良心の自由は、表現の自由との関係がポイント。つまり、内心に留まっているのか、外部に表示されているのか、制約の有無が変わってくる。
- 第19条
-
思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。
思想・良心の自由とは、「心の中の自由」になります。
人それぞれが、心の中で何を思い何を考えるかは
他人はおろか国家からも一切干渉されない自由を表します。
内心に留めている限りおいては他者の人権を侵害することはあり得ない
わけで、「公共の福祉」による制約は受けません。
保障の内容
対国家権力においては絶対的保障です。
ですから、
国家権力は内心思想による差別・不利益を課したり、
特定の思想を直接的ないし間接的に強要すること、
思想調査などは許されません。
ただし、
私人間においては19条の保障も相対化されることになります。
相手方の人権の調整が必要となってきますので、
場合によっては制約を受けることもあるでしょう。
ただし、
これが一旦外部へ表示されることになれば「表現の自由」
になりますので、「公共の福祉」による制約を受ける場合が出てきます。
判例
- 君が代ピアノ伴奏職務命令拒否事件(最判平19.2.27)
-
学校の儀式的行事において、『君が代』のピアノ伴奏をすべきでないとして本件入学式の国歌斉唱の際のピアノ伴奏を拒否することは、上告人にとっては、歴史観ないし世界観に基づく一つの選択ではあろうが、一般的には、これと不可分に結びつくものということはできず・・・。
特定の思想を持つことを強制したり、あるいはこれを禁止したりするものではなく、特定の思想の有無について告白することを強要するものでもなく、児童に対して一方的な思想や理念を教え込むことを強制するものとみることもでいない・・・本件職務命令は、その目的及び内容において不合理であるということはできず、本件職務命令は上告人の思想・良心の自由を侵すものとして憲法19条に反するとはいえない。
- 三菱樹脂事件(最判昭48.12.12)
-
企業者は契約締結の自由を有するから、特定の思想、信条を有する者をそれゆえをもって雇い入れることを拒んでも、当然に違法とはいえず、
したがって、企業者が労働者の採否決定にあたり、労働者の思想、信条を調査し、そのためその者からこれに関連する事項について申告を求めることも違法ではない。
- 麹町中学内申書事件(最判昭63.7.15)
-
(本件の内申書記載は)上告人の思想、信条そのものを記載したものではないことは明らかであり、右の記載に係る外部的行為によっては上告人の思想、信条を了知し得るものではないし、また、上告人の思想、信条自体を高等学校の入学選抜の資料に供したものとは到底解することができないから、所論違憲の主張は、前提を欠き、採用できない。
沈黙の自由
思想良心の自由の一内容として、
「沈黙の自由」というものが保障されています。
沈黙の自由とは、
個人がいかなる思想、信条を抱いているかに対して、
国家権力が強制して露見させることは許されないというもので、
これは思想とは関係のない、事実の知・不知に関しては保障が及ばないとするものです。
思想とは関係のないものですから、
19条で保障されないということですね。
では、
事実の沈黙に関しては保障されないのでしょうか。
事実の沈黙は、の消極的表現の自由として21条で保障されるとし、
公共の福祉による制約を受けると考えていきます。
もっとも、
思想を推知させるような事実には19条の保障が及ぶとされています。
- 謝罪広告事件(最判昭31.7.4)
-
・・・少なくともこの種の謝罪広告を新聞紙に掲載すべきことを命ずる原判決は、上告人に屈辱的もしくは苦役的労苦を科し、又は上告人の有する倫理的な意思、
良心の自由を侵害することを要求するものとは解せられない。重要判例:謝罪広告事件(準備中)
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