象徴天皇制の本質は、しっかりイメージを持っておきたい。
- 第1条【天皇の地位・国民主権】
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天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。
日本国憲法の前文から続く、最初の規定は天皇についての規定です。
天皇の歴史と日本国憲法の歴史では比べるまでもないわけですが、日本国憲法制定後では、「象徴天皇制」という「制度」ということになっています。
「象徴天皇制」の本質とは
明治憲法下では、憲法学上では天皇は主権者と解釈されますが、日本国憲法下では「象徴」という曖昧かつ抽象的な存在にすぎないとしていることが特徴です。
- 「象徴」とは
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目に見えない抽象的、観念的、無形的あるいは超感覚的な事柄を、目に見える具体的、実在的、有形的あるいは感覚的なあるものによって表したもの。
天皇が日本の象徴であるということについては、その通りだと思いますし、明治憲法下でも象徴たる地位にあったわけですが、この規定はそこに本質があるわけではありません。
「象徴天皇制」とは、実は「天皇は象徴という地位にすぎない、象徴たる役割以外の役割を持たない」と言うところに本質があります。
具体的に言うと、天皇には国事行為において一切の政治的行動・発言が認められていません。つまり、日本国憲法は天皇に政治的権力を一切授けていないということです。
国事行為については他ページに譲りますが、第1章「天皇」に規定されているいくつかの国事行為をおこなうには、内閣の助言と承認が必要になります。
この「内閣の助言と承認」の意味は、天皇の行動・発言の責任は内閣が負うと言う意味ですね。
裏を返せば、天皇の行動・発言の責任は、ご自身で責任を取る必要がない、ということは、その権限がないということです。もちろん、公的行為、純粋なる私的な行為(散策、生物学の研究など)についてはそんなことはありませんが。
また象徴天皇制に関して、天皇には民事裁判権は及ばないとされており、民事裁判において、当事者になることは出来ないとされています。(平成元年11月20日 最高裁第二小法廷判決)
日本国憲法下での「象徴天皇制」とはこういうことになります。
国民主権の根拠条文でもある
1条は、この象徴天皇制の規定、国民主権の根拠条文でもあるんですね。
主権の存する日本国民の総意に基く
きわめて基本的な知識ですので、覚えておいてください。
皇位継承
- 第2条【皇位の継承】
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皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。
ご存じの通り、天皇は世襲制であり、一般人がなりたくても天皇にはなれません。大昔のお坊さんがなろうとしましたことはありましたけどね。この天皇世襲制は、14条の「法の下の平等」の例外ということは、知識として覚えておくと良いです。
皇位の継承については、「皇室典範」という法律によって定められていますが、その皇室典範の中の、関連規定をいくつか抜粋してみます。
- 皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。(1条)
- 皇位は、左の順序により、皇族に、これを伝える。(2条)
- 皇長子
- 皇長孫
- その他の皇長子の子孫
- 皇次子及びその子孫
- その他の皇子孫
- 皇兄弟及びその子孫
- 皇伯叔父及びその子孫
- 皇嗣に、精神若しくは身体の不治の重患があり、又は重大な事故があるときは、皇室会議の議により、前条に定める順序に従つて、皇位継承の順序を変えることができる。(3条)
- 天皇が崩じたときは、皇嗣が、直ちに即位する。(4条)
皇位継承の問題は、現時点では切実な問題ではありますが、皇室典範はあくまで法律なので、手続的には必要に応じての改正は難しくないでしょう。
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