最高法規と、それぞれの下位法との関係をイメージできるように。そして、最高法規のところは、「形式的最高法規」と「実質的最高法規」の関係をイメージできると良い。
憲法が国家権力に歯止めをかける法であるということは、国家権力を支配する法でなければならないことは他のページでお話してきました。
国家権力を支配する法でなければならないとはどういうことか?それは、憲法とは、法律を支配する法でなければならないということなんですね。
このように、憲法は法律の上位法、国の法体系の最高峰に君臨しています。これを最高法規といい、この最高法規性は、憲法の特質のひとつになります。
国内法体系
国内法体系(※1)では、まず憲法が最上位に位置し、その下に法律があります。法律は憲法の規定を具体化するという形を採っています。
例えば、詳しい話はここでは割愛しますが、「個人情報保護法」は憲法13条を具体化した法律と言えます。つまり、個人情報保護法は、憲法13条の下位法ということになります。
刑法も立ち位置は同じ。
憲法31条の具体化と言えます。
形式的最高法規性
この、最高法規とその下位法である法律、あるいは、それぞれの下位法と上位法との関係は、ちゃんとイメージできるようにしておくと良いと思います。
それぞれの上位法を具体化する形になっており、下位法は上位法より権限を授けられていて、上位法に抵触する内容の法は否定されます。憲法はその法体系の最上位にいます。
このような体系的な憲法の最高法規性を、形式的最高法規性(憲法98条)といいます。
- 第98条
-
この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。
2 日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。
実質的的最高法規性(憲法97条)
このように、憲法に規定されているという理由で憲法の最高法規性を確認できるわけですが、それ(形式的最高法規性)とは違う視点でも憲法の最高法規性を導き出すこともできます。
近代憲法は、個人の尊厳・個人の尊重という価値観を根本とした規範であるわけであり、憲法に規定されている規範は、この価値観の実現のために存在するわけですね。
あらゆる国家権力から不可侵のものとして権利・自由を保障するものであり、
人権規範を中心として構成されています。
この考えに基づけば、
憲法とは、この人権という人間にとってかけがえのない価値を保障する規定だからこそ最高法規なのだ、という最高法規性も導き出せるのですね。
形式的最高法規の規定と同じ「最高法規」の章にこんな規定があります。
97条です。
- 97条
-
この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。
人権というものの概念を謳ったような規定ですが、この規定が人権の章ではなくこの最高法規の章に置かれているこの事実こそ、憲法が最高法規であるという実質的な根拠であると考えます。
このように、
実質的に最高法規性があるゆえに、形式的にも最高法規であると考えていくのです。
(※1)「命令」とは行政が制定する法規範であり、
処分とは行政や裁判所における一定の意思決定のことです。
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