試験との関係では、1項2項の理解で足りると思われる。「平和的生存権」と、その関連判例は、ちょっと大事。
」「日本国憲法には、「前文(「ぜんぶん」。「まえぶん」と発音する方もいます)」なる文章が付されています。
憲法法典の前にそういった文章が付されていることは別に珍しいことではありません。各国憲法の前文には、制定の由来や目的などが記述されることが多いわけなのですが、日本国憲法の場合、日本国民が主権者(憲法制定権者)であることを宣言し、この憲法が近代憲法の価値観に沿っものであるとしています。
前文は、番号が振ってあるわけではありませんが、4つの項に分けることができます。一般的にはこういったことはしませんが、憲法学上では便宜上、項分けしたりすることがあるんです。
ここでも項分けしていますので、上から1項、2項・・・と数えていきます。
下が、日本国憲法前文の全文です(ラインマーカーやアルファベットは管理人が便宜的に書き加えたたものです)。
- 前文
-
日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動(a)し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。(b)
そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものてあつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使(c)し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。(d)日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、 われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利(e)を有することを確認する。
われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、 この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。
前文に書かれていることを解説
ポイントを黄色いラインマーカーを引き、アルファベットを振りましたので、
その部分について解説していきます。
国民主権と代表民主制
1項については、国民主権、その行使方法である代表民主制について書かれています。
(a)ここは、代表民主制について書かれており、(b)の国民主権に繋がっています。
前文のこの部分と1条ですが、国民主権の根拠条文となっていますので、
もし「国民主権の根拠条文は?」と聞かれたら、1条だけでなく前文も挙げましょう。
(c)も国民主権に関連する箇所になります。
「権力的契機と正当性の契機」について書かれています。
マーカー部分ではありませんが、
その少し前に「国政は、国民の厳粛な信託によるもの」という部分があります。
日本国憲法は自然権思想・社会契約説からの影響が
非常に強いものであることも窺えます。
(d)では、これら、つまり、国民主権は人類普遍の原理であり、
憲法改正によっても排除できないものと宣言しています。
平和的生存権
2項は、
これも日本国憲法の三大原則のひとつである「平和主義」
について謳われています。
この平和主義については9条の「戦争の放棄」が有名なわけですが、
この前文2項も平和主義に関連してきます。
(e)にある「平和のうちに生存する権利」を以って
「平和的生存権」と言います。
この平和的生存権ですが、重要な判例がありますのでご紹介しておきます。
以下
3項については
国際協調主義、4項は日本国憲法の崇高な理想と目的を達成すること
を誓っています。
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初めてコメントさせていただきます。
自由のもたらす恵沢についての記述が抜け落ちている。
改憲の土台がルソーの社会契約論にあることを知らない人が日本国憲法の説明をすることに無理があるように思います。
あしからず。
コメントありがとうございます。
当サイトは、受験生向けに構成されています。
司法試験(準じた試験も含む)向けならいざ知らず、行政書士や司法書士試験では、
特に必要な知識ではなく、さらに、前文ではそのような聞かれ方はこれまでないし、
今後もまずないと踏んでいます。
よって、必要ないと思います。
ただ、ご指摘頂いたことは感謝しております。
今後の参考にしていきたいと思います。
ありがとうございました。
前文を読むといつも思いますが、近隣諸国が、「専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において」と書かれている社会でないとき、その対策は、どうなりますか。
憲法には、想定外の事態に対処する項目が書かれていないように思います。
(1)「日本国憲法の前文で謳っている事」
(a)正当に選挙された国会における代表者を通じて行動
(b)ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。
(c)その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使
(d)これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の
憲法、法令及び詔勅を排除する。
(e)平和のうちに生存する権利
(2)ところが、一方、現実社会はこういうものである。
今現在、人類は「自己防衛のためには戦争抑止力として武器を保持しているが。それは「武器が最短・最良のコ
ミュニケーションの手段であるからだ。
使わないで持っておくだけなら、初めから持たなければ」と思うが、そうはいかない。「どうしてか」。それは、現在
の人類が持っている「他の理解力」が、「悲しいかな持たないで済むほど進化していない」からだ。
私は、人類が「両手に武器を持たずに、握手のみで解決できるようになるのに、後1万年は掛かる」と見ている。
何しろ人類が「両手に武器を持つ時代」から、現在の「左手に武器を持ち、右手で握手」という時代を作るのに、
なんと1万年かかっているからだ。それほど人類の「他の理解力の進化は遅い」からである。
(3)日本人が、「(e)平和のうちに生存する権利」を実践していくには;
1)時代にあった、近隣諸国とのバランスを考えた環境整備が必要になって来る。
2)現在は、「左手に武器を持ち、右手で握手」という時代である。
3)すなわち、日本も、積極的に「左手に戦争抑止力としての武器を持って行くべきである」ということだ。
「どうしてか」。それは、現在の人類の「他の理解力」が口で言う程に進化していないらだ。何かというと
武器に手を出し、相手を黙らせてしまいがちである。
「武器と云うものが「人類が作り出した最短のコミュニュケーションであるからだ」。
即ち、日本が「戦争抑止力としての武器を持っておくことで、「第三次世界大戦」を抑止できるということだ。
それが、(e)平和のうちに生存する権利