試験的にも、日本の政治システムを知る上でも、大事である。三権分立の中のもうひとつの権力分立と言える。民主主義の信託を受けた国会の責任と、その国会の信任を受けた内閣の責任がポイント。
議院内閣制。
きっと耳にしたことがある単語でしょう。
耳にしたことはあっても、説明はなかなか難しいと思います。
憲法の試験では、重要な項目になってきますので、理解しておく必要があります。
ここで、わかりやすく、かつ、試験にも耐えうるように詳しく解説することにします。
議院内閣制とは、国会と内閣の関係性のこと
議院内閣制とは、統治機構の一つのシステムのことです。
もう一歩話を進めると、国会と内閣の関係性をことです。
このような憲法規定があります。
- 第67条1項
- 内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これを指名する。この指名は、他のすべての案件に先だつて、これを行ふ。
- 第68条1項
- 内閣総理大臣は、国務大臣を任命する。但し、その過半数は、国会議員の中から選ばれなければならない。
このように、憲法では、
内閣の首長である内閣総理大臣を、
そして、国務大臣も一定数は国会議員から選出される必要があるとしています。
これは何を意味するかというと、
内閣は、国会(議院)の信託を受けているということに他なりません。
国会の構成員である議員は、自分たちと同じ立場の者の中から、
「国の運営、頼むぞ」と託されて選出され、内閣に送り込んでいる、というよりも、
そういうシステムになっています。
日本の三権分立は正三角形ではない
国会議員は立法権を担う立法府の構成員であり、三権分立の建前上、
立法府と行政府は分離され抑制均衡を図る機関であるはずです。
しかしながら、実際は、
国会と内閣は近しい関係であることがお分かりだと思います。
議院内閣制、責任的観点と均衡的観点
国会と内閣が近しい関係てあるということを述べてきました。
議院内閣制とはこのように、国会と内閣の関係性についてのお話です。
この先、この関係性について、
もっと具体的に見ていきます。
内閣は国会の信任に責任を負う
国会の信託を受けた内閣ですが、
内閣目線では国会に対してどういう関係なのでしょうか?
国会から「頼むぞ」と信頼して託された内閣、
当然、国会に対してその想いに報いる必要があります。
それが次の規定です。
日本国憲法第66条3項。
- 第66条3項
- 内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。
これで、国会と内閣の関係が見えてきます。
すなわち、内閣は、国会の信任があって初めて成立(67条、68条)し、その権利行使の責任は信任を与えてくれた国会に対して連帯して責任を負う(66条)ということになります。
これは、
国民の信託を受けた国会から間接的にですが民主的コントロールが及ぶ
ということを意味します(民主的責任行政)。
このように、
国会と内閣は協力関係にあるといっていいでしょう。
国会と内閣の均衡
しかし、状況によってはこの協力関係も破綻する場合があります。
内閣の行政運営が著しく稚拙だったり、
あるいは、国会が内閣の志向とあまりにもかけ離れており、
行政運営がままならなかったり・・・
このような場合、
国会は内閣に対して不信任決議を可決して内閣の是非を問うことができます。
- 第69条
- 内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。
この決議によって内閣が否定されれば、
内閣総理大臣は内閣の総辞職、衆議院の解散を選択することができます。
内閣と国会は、信託と責任という協調関係である一方、
お互いに攻撃・防御のツールを有しており、均衡状態が保たれます。
この均衡状態、一面では連帯責任関係という側面も持っています。
以上のような、
内閣と国会の関係に関する責任的、均衡的の2つの観点を
含めた制度を議院内閣制と言います。
ちょっとだけよその国の政治体制を
もちろん、
このような制度を採っている国は日本だけではありません。
イギリスは日本と同様の制度を採っていますし国体も日本に非常に近いですよね。
政治体制としては、「大統領制」というものもあります。
アメリカなどが典型例ですが、日本の地方自治でもこの大統領制に近い形と採っています。
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