習得重要度A三権のそれぞれの他機関への抑止については、しっかり知識として身に付けよう。統治機構の問題として行政書士試験では何度も出題されている。


この権力分立の一場面・典型例と言えるのが三権分立というものですが、
日本国憲法における三権分立をみてみましょう。

3つの条文

次の3つの条文をご覧ください。

第41条(国会の地位・立法権)

国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。

第65条(行政権)

行政権は、内閣に属する。

第76条1項(司法権)

すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。

これらの規定は、国家権力である立法権、行政権、司法権の所在を明記したものです。
立法権は国会に、行政権は内閣に、司法権は裁判所に属すると規定していますね。

国会議事堂
国会は我々の代表者が法律を制定する機関であり、国会議事堂と国会議員をイメージすればいいでしょう。

最高裁判所
司法は最高裁判所を頂点とし、他の国家機関とは一線を画し、独立して存在する司法権の担い手である各種裁判所です。

首相官邸
「行政」はそれ以外の国家機関で、その法律を行使する機関です。内閣総理大臣を長とし、各種省庁の下に様々な行政機関があります。もちろん、地方公務員もここに属しており、国公立の学校の先生なんかもここに属しています。

三権それぞれの関係

これらの機関には残りの2つの機関に対して行使できる権限があります。
下の図は三権のそれぞれの機関に対する権限を示したものですのでご覧ください。

三権分立の図2

国会と内閣の関係

内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で選ばれます(67条)し、
国会(衆議院)は、内閣に対して、「もうお前らなんて信用できない!認めないからな!」と内閣不信任を突きつけることができます。

この不信任が可決されると、内閣は総辞職となります(69条)。

他方、
内閣は、衆議院から内閣不信任を突きつけられたら総辞職しなければなりませんが、
もうひとつ、衆議院を解散に追い込む権限があります(憲法上は内閣の権限ですが、実務上は内閣総理大臣の権限といって良いでしょう)。

このように、国会と内閣の関係は、「持ちつ持たれつ」なんですね。
閣僚連中を罷免させたり、衆議院議員を失職させる権限をお互い持っているのです。

このように、3つの国家機関は、他の機関を監視しお互いにけん制し合って、
権力の暴走に歯止めを掛けられるような権限を持ち行使できるようになっています。

この抑止効果が国民の人権保障につながると考えられ、三権分立の趣旨もここにあるわけです。
ここは権力分立の項で述べている通りですね。

日本の三権分立は「正三角形」ではない

ちょっと補足ですが、実は日本のシステムはきれいな正三角形ではありません。
どういうことかというと、3つの権力がガチで抑制と均衡状態を維持しているわけではないのです。

国会と内閣は「抑制と均衡」状態ではありますが、非常に近い関係でもあります。
日本の政治システムは、「議院内閣制」という制度を採用しています。
これは憲法でも規定されているということで、憲法上の政治システムと言えます。

第66条3項

内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。

詳しくは他のページに譲りますが、
正三角形ではなく、国会と内閣が近く、
司法が両権力と離れている二等辺三角形のような形といった方が正解に近いでしょう。

議院内閣制という制度は、何も日本特有の制度ではなく、
世界中の国で採用されている制度です。
ちなみに、日本の議院内閣制はイギリスの制度を参考にしていると言われています。

三権分立と国民の関係

三権分立というシステムは、国民の人権保障のためのシステムなので、
国民がないがしろにされているわけではありません。

もちろん国会は国民が選挙で選んだ自分たちの代表者が担っているわけで、
民主主義の原理も働いています(裁判所も「国民審査(79条1項)」という民主主義が働いていますが)。

三権分立の図

このように、国家権力を作用毎に3つの機関に分けて分離し、
それぞれを抑制と均衡状態にすることによって国民を権利・自由を保障する制度が三権分立です。

もっと三権分立について確認したい方は「「我が国における三権分立の姿」」へどうぞ。

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