習得重要度B2つの違憲審査制の理解は、大事。決して難しくはないので、しっかり理解しておきたい。ここは、「司法権」を学んでから取り掛かると理解が早いと思われる。


この違憲立法審査ですが、もちろん、日本だけが行っていること
ではありません。

日本では、81条によって司法権の担い手である裁判所(81条では最高
裁判所と規定されています)に違憲立法審査権があると規定されていま
すが、国によっては、行政機関のひとつ、あるいは、裁判所ではあるけ
れど、別機関として「憲法裁判所」的なものを置いて、そこで審査する
制度を敷いている場合もあります。

違憲審査権の所在の類型

どっちがどっち、ということはありませんが、少なくとも、日本では
そう規定されているということです。

このように、行政機関のひとつとして違憲審査をする場合と、日本の
ように行政機関とは独立した裁判所が、違憲審査をも行う場合の区別
は結構大事な知識となってきます。

①はともかくとして、②と③の区別は、裁判所のパート全体にも密接に
関係してきますし、関連判例を読み解く上でも関係してきますので、
しっかり準備しておくといいと思います。

抽象的違憲審査制とは

②のスタイルを、「抽象的違憲審査制」といいます。

こちらは、通常の裁判所と違い、違憲審査を専門に行う憲法裁判所で
す。76条1項でいうところの「司法権」を行使するわけではありません。
刑事裁判も民事裁判も行いません。

よって、実際に法律上の争訟とは関係なく、いきなり違憲かどうかを争
うことができます。例えば、ある法律が制定され、違憲確認訴訟があれ
ば、審理の上「その法律は憲法違反だ!」とできるんですね。

具体的な事件がなくとも、将来起こり得る事件の防止という、抽象的な
状態でも憲法判断が可能、ということです。こういうスタイルは、
「大陸型」とか言ったりもします。欧州で伝統的に散見するスタイルです。

付随的違憲審査制とは

③のスタイルです。

こちらは、日本で言うところの76条1項にある「司法権」の担い手で
ある裁判所が違憲立法審査権を行使することになります。

司法権とは具体的な事件についての審査になりますので(「司法権」に
ついてはこちらに詳しく:司法権)、抽象的違憲審査制のように憲法判断だけ
しかしない、ということにはなりません。

あくまで、具体的な事件の審査に付随して
違憲審査をするというスタイルです。

実際にあった例を挙げて理解を深めましょう。

靖国神社の内閣総理大臣参拝問題

靖国神社の参拝の問題です。
この問題、何度か提起されていますが、憲法上の問題としては20条にある
政教分離原則」違反かどうかということです。

これらは、原告側が直接的に政教分離原則違反を問うたわけではなく、
参拝によって精神的ダメージを受けその慰謝料請求する、という民事
裁判を提起しています。

慰謝料請求とは民法の不法行為の話ですが、原告側の主張は、内閣総理
大臣が靖国神社を参拝することは不法行為である、なぜ不法行為なのか
というと、それは憲法違反だから、ということです。

そうなると、内閣総理大臣が靖国神社を参拝することが20条の政教分離
違反かどうかを審理する必要がありますよね?ということで、審理の過
程で憲法判断をしているわけです。憲法違反であれば、その請求は認め
られる余地はあるでしょうが、憲法違反でないとすれば、その請求は認
められないでしょう。

あくまで、事件解決、個人の人権保障の過程での憲法判断、というスタン
スが付随的違憲審査制ということなのです。

付随的違憲審査制と抽象的違憲審査制

判例ではどういった判断がされているのでしょうか。

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