習得重要度B行政書士試験では、条文知識問題として過去に出題されている。しっかりチェックしておきたい。


司法権の帰属(76条1項)

第76条1項

 すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。

ここまで、司法権については重要論点目白押しなので、
何ページにもわたって解説してきました。

同じ76条1項には、論点というわけではありませんが、
「司法権の帰属」という規定もされています。

司法権が帰属する国家機関はどこか?ということです。

ご覧のように、最高裁判所(最高裁には違憲立法審査権が付与されていることも意識しておいてください)と下級裁判所に司法権はは帰属するとあります。

注力してほしいところは、日本国憲法において、
司法権は、最高裁及び法律で定められている下級裁判所にしか認められていないということです。

これは、三権分立の根拠条文の一つになります(他は41条65条)。

下級裁判所とは

さて、下級裁判所ですが、
高等裁判所、地方裁判所、家庭裁判所、簡易裁判所の4つが下級裁判所にあたります。

この4つの裁判所は、憲法上の要請があるわけではなく、
76条1項に規定通りに裁判所法で規定されているにすぎません。

ちなみに、日本は三審制を採っており、
原則として最高裁を終審裁判所として地裁(簡裁、家裁)、高裁と上訴できるようになっています(刑事事件の場合、民事の場合はこの限りではありません。が、三審制には変わりはありません)。

三審制のチャート図

特別裁判所の禁止・行政機関による終審裁判の禁止(76条2項)

第76条2項

 特別裁判所は、これを設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行ふことができない。

日本国憲法では、特別裁判所の設置を禁止しています(76条2項前段)。
特別裁判所とは、特定の人・事件を裁く、通常の裁判所の系列から独立して設けられる裁判所を言います。

日本国憲法下では禁止されているのでありませんが、
明治憲法下では軍法会議などはこれにあたるのではないかと思われます。

以前、家裁がこの76条2項違反にな足るのではないかという事件がありましたが、
最高裁系列の下級裁判所であるとして大丈夫でした(昭31.5.30)。

また同条同項後段では、
行政機関による終審裁判の禁止されています。

これは、前審は行政機関でも場合によっては構わないが、
終審裁判は裁判所でなければならないという意味です。

これは、司法権が裁判所に帰属するという1項と矛盾するかもしれませんが、
終審裁判が通常裁判所であれば司法的救済の道は残されているし、
前審が専門的行政機関ということは、その方が効率的な審理が期待できる、
と考えられています。