憲法でもっとも有名な最高裁判例であり、最重要且つ頻出論点。本当に頻出なので、タイトに理解しておくべき。最重要論点なのに、あやふやに覚えてしまっている人が多い印象。確実に正解できるように準備しておくべき。
少々長くなるので2回に分けます。
こちらは、事案・争点・第1審、控訴審まで。
最高裁判断はこちらから。
アメリカ人のロナルド・アラン・マクリーン氏は、
昭和44年5月10日に日本に在留期間1年として入国し、
直ちに語学学校の英語教師として雇用されました(のちに無届で転職)。
他方、マクリーン氏は外国人ベ平連に所属し、
ベトナム反戦、出入国管理法案反対、日米安保条約反対等のデモや集会に参加していました。つまり、マクリーン氏は政治的活動を行っていた、ということです。
そして、マクリーンさんは入国から約1年後、
在留期間更新を当時の法務大臣に申請しました。
しかし、法務大臣は出国準備期間として120日間の更新を許可しましたが、
以後の更新は不許可。
マクリーンさんはこの処分の不服として、その取り消しを求めて提訴。
争点と第一審・第二審
この事件の争点は以下の3つ。
- 外国人の出入国・在留の自由が保障されるか
- 在留の自由の法務大臣の裁量範囲
- 外国人の政治活動の自由の範囲
補足します。
第一審の際、
法務大臣は、マクリーンさんの在留更新不許可の理由について2点、
無届で転職したこと、政治活動を挙げました。
政治活動というのは、
もちろんベトナム反戦、出入国管理法案反対、日米安保条約反対等のデモや集会のことです。
マクリーン氏は、いわゆる「不良外国人」で且つ政治活動を行っていた、
だから、在留更新はなし、という当時の法務大臣の判断なのですね。
マクリーン氏は、この判断が不満だったわけです。
第一審、控訴審
第一審では、法務大臣の在留更新許可について、
「相当広範な裁量権を有する」としながらも「日本国憲法の国際協調主義および基本的人権保障の理念にかんがみ・・・最良の範囲を逸脱する違法の処分」
とし法務大臣の処分を取り消しました。日本政府はもちろん控訴します。
そして控訴審。
「(在留許可更新を認めるに足る)相当の理由があるときにこれを許可すれば足り、その際の判断は(法務大臣の)『自由な裁量』に任されており、在留期間中の政治活動を消極的資料とすることも許される」
と判示し、地裁の判断をひっくり返しました。
つまり、在留更新を許可するか否かは、法務大臣のさじ加減ひとつで、
在留期間中の(日本政府にとって好ましくない)政治活動をその判断材料としても構わないということです。
一審・控訴審は、
法務大臣の裁量の範囲を大きく採るか、小さく採るかの違いですね。
そして、その判断を政治活動としていることで、
事実上、外国人は政治的活動については制約を受けると判断しています。
最高裁判断は、次のページで。
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